肥満治療薬として新しく承認された「ウゴービ」ですが、保険適用条件などはご存じでしょうか?
また、保険適用での価格や従来の肥満治療薬であるオゼンピックなどとの違いも気になりますよね。
本記事では、ウゴービの保険適用価格や処方の条件、従来品との違いなどを徹底解説します。
ウゴービについて知りたい方、処方を希望している方は、ぜひ参考にしてみてください。
- ウゴービの保険適用での価格
- ウゴービの処方の条件
- ウゴービとオゼンピックの違い
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荒木里緒
複数の美容クリニックのカウンセリングを巡り、二重整形・脂肪吸引・クマ取り・糸リフトなど数々の美容整形を受けている。SNSで美容整形に関する情報や口コミに目を通すことが日課。美容整形を受けて良かったことはもちろん、後悔や辛かったダウンタイムも踏まえ、自身の実体験が悩みを抱える方の役に立つことを目標に執筆を行う。
[cont slug="glp1-3clinic"]ダイエットが続かない…食欲がおさまらなくて太る…ダイエットしたくても、このように悩んでいる方は多いでしょう。そこで、簡単にダイエットできる医薬品[…]
【参考】
・消費者庁:美容医療を受ける前にもう一度
・厚生労働省:美容医療サービスチェックシート
・国民生活センター:増加する美容医療サービスのトラブル
肥満治療薬ウゴービ(セマグルチド)とは?
新しい肥満治療薬として話題になったウゴービは、どんな薬なのでしょうか?
ここでは、肥満治療薬のウゴービについて説明していきます。
2024年2月に保険適用となったGLP-1受容体作動薬
ウゴービは、2023年3月に厚生労働省の承認を得て2024年2月22日から処方が開始された比較的新しい治療薬です。
有効成分は「セマグルチド」で、既存のGLP-1受容体作動薬ではオゼンピックやリベルサスが同様の有効成分が配合されています。
週1回の自己注射で投与するタイプで、既存のGLP-1受容体作動薬の中では効果が強力です。
効果は、既存のGLP-1受容体作動薬同様、食欲を抑制や胃腸の働きを抑制することで食べ過ぎを予防し、基礎代謝を向上させ脂肪燃焼を促進します。
もともとは肥満症の治療薬
肥満とは | 肥満症とは |
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ウゴービは、肥満症の治療薬として承認されています。
肥満と肥満症の違いは、合併症のリスクの有無です。
太っていることで病気になっている、もしくは今後病気になる可能性が高い場合は「肥満症」として、医療機関での治療の対象となります。
逆に言えば、太っていても病気になっていない、病気になるリスクが少ない場合は、治療の対象になりません。
参考文献:日本肥満学会
ウゴービの保険適用価格は?
種類 | 薬価 | 保険適用価格 |
---|---|---|
0.25mg | 1,876円 | 562.8円 |
0.5mg | 3,201円 | 960.3円 |
1.0mg | 5,912円 | 1773.6円 |
1.7mg | 7,903円 | 2370.9円 |
2.4mg | 10,740円 | 3,222円 |
【参考】オゼンピック2mg | 11,008円 | 3302.4円 |
※2024年10月時点
ウゴービの保険適用価格をまとめました。
ここでは、ウゴービの薬価や保険適用価格について詳しく説明していきます。
0.25mgで562円
公表されている薬価から、3割負担として保険適用価格を算定しました。
ウゴービの保険適用価格は、0.25mgの一番少ないもので562円、2.4mgの一番多いもので3,222円です。
ウゴービは使い切りの注射薬ですので、量を間違えるリスクもなく衛生面でも安心できますね。
ちなみに、オゼンピックは1回0.25mgとすると、保険適用価格で412.8円となっています。
頓服薬として処方されるロキソニン錠が1錠4.8円なので、やはり肥満治療薬は高価な薬に分類されます。
オンラインでの処方は不可、対面診療が必要
ウゴービは、現状オンライン診療での処方は不可となっており、対面診療が必要です。
これは、ウゴービの効果が高く副作用が強く出る可能性が高いためです。
また、処方できる医療機関も限られているため、気軽に処方してもらえる薬ではないといえます。
ウゴービの保険適用での処方条件は3つ
ウゴービが保険適用で処方される条件はおもに3つあります。
それぞれ詳しく解説していきます。
参考文献:厚生労働省 最適使用推進ガイドライン
1.特定の併存疾患の診断を受けていて、BMIが基準値以上
特定の併存疾患 | BMI |
---|---|
上記のうちいずれか1つ以上の診断 |
もしくは
|
ウゴービの保険適用の処方には、上記の項目に当てはまることが第一条件です。
従来のGLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病のみ適応となっていたため、対象者が広がることになりました。
また、BMIが27以上で下記の肥満に関する健康障害に2つ以上該当するか、BMIが35以上であることも条件となっています。
- 耐糖能障害 (2型糖尿病・耐糖能異常など)
- 脂質異常症
- 高血圧
- 高尿酸血症・痛風
- 冠動脈疾患(心筋梗塞・狭心症)
- 脳梗塞(脳血栓症・一過性脳虚血発作(TIA))
- 脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患/NAFLD)
- 月経異常、不妊
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)・肥満低換気症候群
- 運動器疾患(変形性関節症(膝、股関節)・変形性脊椎症・手指の変形性関節症
- 肥満関連腎臓病
で算出できます。
2.食事療法・運動療法で効果が得られなかった人
肥満症に関する適切な食事療法・運動療法などの治療を6ヵ月以上しても、十分な効果を得られない場合もウゴービの適応になります。
さらに以下のような条件も必須になります。
- 自己流の食事療法や運動療法ではない
- ウゴービが処方できる医療機関で治療計画に則った治療を実施
- 食事療法は2ヵ月に1回以上管理栄養士の指導を受けている
- 食事療法・運動療法ともに患者が記録している
- 患者が記録した治療内容が確認できる状態にある
ウゴービが処方できないクリニック等での治療をしていても、現状は転院後に再び食事療法等をする必要があるということです。
今後、処方できる医院が増えたりすることで変わる可能性も十分ありますが、現在はすぐに処方してもらうのは難しいといえるでしょう。
3.特定の併存疾患に対して適切な治療が行われている
3つ目の条件は、高血圧、脂質異常症、2型糖尿病などの疾患対して、薬物療法を含む適切な治療が行われていることです。
診断を受けた後、薬の投与や食事指導などの治療を受けていない場合は対象外になります。
特定の併存疾患があり、肥満症をお持ちの方で、ウゴービの処方を希望する場合は、次の「ウゴービを処方してもらえる病院」への受診を検討しましょう。
ウゴービを保険適用で処方してもらえる病院の条件6つを解説
参考文献:厚生労働省 最適使用推進ガイドライン
1.内科、循環器内科、内分泌内科、代謝内科、糖尿病内科の保険医療機関
ウゴービは、内科、循環器内科、内分泌内科、代謝内科、糖尿病内科の診療科がある保険医療機関のみ保険適用での処方が可能です。
ほとんどの病院やクリニックは保険医療機関ですので、この条件に関してはあまり深刻に考える必要はないでしょう。
上記に挙げた、適切な診療科での診察が必要になります。
2.特定の併存疾患とウゴービを熟知した医師の指導で処方できる
高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病に加え、肥満症治療を熟知した医師が在籍している必要があります。
それに加え、ウゴービについての十分な知識を有していることも条件になります。
次に説明する医師要件を満たす医師の指導のもとで、ウゴービの処方が可能な医療機関であることが必要です。
3.医師要件を満たす医師が1名以上所属している
病院内に、医師要件を満たす常勤医師が1名以上おり、ウゴービを使用した治療に携われる体制が整っていることも条件の一つです。
病院内に所属する専門医がいない場合は、専門医がいる施設と連絡・連携が適切に取れる体制が構築できていることが必要です。
- 医師免許取得後2年の初期研修を修了した後に、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病並びに肥満症の診療に5年以上の臨床経験を有していること。
又は
医師免許取得後、満7年以上の臨床経験を有し、そのうち5年以上は高血圧、脂質異常又は2型糖尿病並びに肥満症の臨床研修を行っていること。 - 高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病を有する肥満症の診療に関連する以下のいずれかの学会の専門医を有していること。
・ 日本循環器学会
・ 日本糖尿病学会
・ 日本内分泌学会
なお、日本肥満学会の専門医を有していることが望ましい。
4.日本循環器学会、日本糖尿病学会、日本内分泌学会のいずれかの認定施設
上記の医師要件に挙げた3つの学会のいずれかから、教育施設として認定を受けている必要があります。
学会の認定とは、病院でどの分野の臨床経験が得られるのかを示したものです。
常勤医師の人数、指導体制の構築、カリキュラムの施行、委員会の設置などさまざまな条件があるため、比較的大きな病院に絞られます。
5.常勤の管理栄養士がいて適切な栄養指導が行える
ウゴービの使用では、副作用への対策とともに栄養管理も重要です。
そのため、常勤の管理栄養士による適切な栄養指導を行える施設であることが必要になります。
実施した栄養指導については診療録等に記録し、今後の治療へも役立てます。
6.医薬品の管理体制や副作用への対応ができることも必須
上記5つは施設要件といわれるもので、ウゴービを使用した安全な治療が行える医療機関の体制を求めるものです。
それとは別に、以下のような医薬品情報管理の体制や副作用への対応体制の構築も、必須条件となっています。
- 製薬企業等からの薬学的情報の管理
- 有害事象が発生した場合の適切な対応と報告
- 副作用に対して直ちに適切な処置ができる体制がある
ウゴービとオゼンピックの違いは何?
ウゴービ | オゼンピック | |
---|---|---|
適応疾患 | 高血圧、脂質異常症、2型糖尿病 | 2型糖尿病 |
最大投与量 | 2.4mg | 1.0mg |
副作用 | 強い | 弱い |
最大投与期間制限 | 68週間 | 特になし |
オンラインでの処方 | 不可 | 可 |
ウゴービとオゼンピックは、ともに有効成分がセマグルチドです。
この二つの違いは一体何なのか、比較して解説します。
適応される疾患の違い
ウゴービ | オゼンピック | |
---|---|---|
適応疾患 | 高血圧、脂質異常症、2型糖尿病 | 2型糖尿病 |
オゼンピックは2型糖尿病のみ適応となっていましたが、ウゴービは高血圧と脂質異常症も適応となっています。
適応範囲が広がったため、より多くの方がGLP-1受容体作動薬を使用した肥満症治療を行えるようになりました。
その分、ウゴービは処方されるための縛りも多いため、気軽に使用できるものではありません。
ウゴービは最大投与量が2.4mgとオゼンピックより多い
ウゴービ | オゼンピック | |
---|---|---|
最大投与量 | 2.4mg | 1.0mg |
ウゴービの最大投与量は2.4mg、オゼンピックは1.0mgとなっています。
ウゴービは、0.25mg、0.5mg、1.0mg、1.7mg、2.4mgの5種類です。
オゼンピックは、0.25mg、0.5mg、1.0mgの3種類となっています。
効果や副作用はウゴービの方が強い
ウゴービ | オゼンピック | |
---|---|---|
副作用 | 強い | 弱い |
ウゴービの方が、副作用が強く出る傾向にあります。
最大投与量が多いこともあり、従来のGLP-1受容体作動薬に比べて効果は高いものの、やはり副作用は注意したいところ。
- 以下のような低血糖症状
- 脱力感・倦怠感
- 高度の空腹感
- 冷や汗
- 乾麺蒼白
- 動機
- 振戦(ふるえ)
- 頭痛
- めまい
- 嘔気
- 視覚異常
この点から、処方条件や施設要件などの基準が設けられています。
ウゴービは投与期間に68週間の制限あり
ウゴービ | オゼンピック | |
---|---|---|
最大投与期間制限 | 68週間 | 特になし |
オゼンピックは投与期間の制限はありませんが、ウゴービは投与期間が68週間と定められています。
68週間というと、約1年4ヶ月ほどです。
さらに、2ヶ月に1回以上は管理栄養士による栄養指導を受ける必要があります。
オゼンピックはオンライン診療で入手できる
ウゴービ | オゼンピック | |
---|---|---|
オンラインでの処方 | 不可 | 可 |
ウゴービの処方対象とならない方は、自由診療で処方可能なオゼンピックを検討してください。
オゼンピックはオンラインでも処方してもらえるため、忙しい方でも診察してもらいやすいのが最大のメリットです。
勤務時間にばらつきがある方は、24時間診療可能なDMMオンラインクリニックがおすすめです。
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オゼンピックのプラン | GLP-1 週1回注射プラン | GLP-1 週1回投与プラン | オゼンピック処方プラン |
オンライン診療時間 | 0:00〜24:00 | 7:00〜23:45 | 7:00~22:00 |
公式サイト |
まとめ
- ウゴービの処方は認定された医療機関でのみ処方可能
- 価格は562円~3,222円
- 効果が高い分副作用が強い
ウゴービの保険適用価格や処方される条件、処方できる施設条件などを解説しました。
ウゴービは効果の高いGLP-1受容体作動薬であるため、処方できる施設が限られていることがわかりました。
また、自由診療での処方はしておらず保険適用での処方のみなので、限られた方しか使用できないのが現状です。
効果が高い分副作用が強く出る可能性があるという点も、多くの基準が設けられている理由の一つでしょう。
ウゴービの入手は難しいですが、同じセマグルチド配合のオゼンピックは自由診療で手に入れることができます。
GLP-1受容体作動薬が気になる方は、この記事を参考にぜひチェックしてみてくださいね。
- 消費者庁「美容医療を受ける前にもう一度」
- 消費者庁「美容医療サービスを受けるに当たっての確認ポイント」
- 厚生労働省「美容医療サービスチェックシート」
- 一般社団法人日本肥満学会(JASSO)「あなたの肥満、治療が必要な「肥満症」かも!?」
- KEGG MEDICUS「医療用医薬品:ウゴービ」
- 中央社会保険医療協議会「最適使用推進GLが策定された医薬品の保険適用上の留意事項について」
- 中央社会保険医療協議会「最適使用推進ガイドライン(案)セマグルチド(遺伝子組換え)」