臍帯血とは? – 保管方法や種類について徹底解説

再生医療 臍帯

臍帯血とは? – 保管方法や種類について徹底解説

臍帯血とは? - 保管方法や種類について徹底解説

近年、臍帯血移植や臍帯血幹細胞培養上清液療法などにもちいられる「臍帯血」(さいたいけつ)。臍帯血は、へその緒からとれる血液のことを言います。しかし、気になるのは採取した臍帯血の保管方法ではないでしょうか?本記事では臍帯血の保管方法や種類について徹底解説をします。

臍帯血(さいたいけつ)とは

母体と胎児を繋ぐ「へその緒」を臍帯といいます。おなかの中にいる赤ちゃんは臍帯を通じて母体から酸素や栄養を受け取っており、まさに赤ちゃんにとって臍帯は命綱といえるでしょう。出生時の臍帯は個人差がありますが50~60cm程度あり、太さは約2㎝。この臍帯のなかを流れる血液を臍帯血と呼びます。臍帯血には病気の治療に有効的だといわれている造血幹細胞が多く含まれているため、近年では病気の治療に用いられるようになりました。このように病気の治療のために臍帯血から採取された造血幹細胞を移植することを「臍帯血移植」といいます。

臍帯血(さいたいけつ)の採取方法

臍帯血(さいたいけつ)の採取方法

臍帯血は赤ちゃんを出産してからわずか数分間の間だけしか摂取ができません。出産から時間が空きすぎてしまうと胎盤から排出された臍帯血を採取するのが難しくなります。特に臍帯血移植に利用するための臍帯血は、高い品質を保った状態で採取、保存しなくてはいけません。採取時には臍帯の表面の血管に針を刺しますが、針の痛みを感じることはありません。採取は2~3分程度で終わり採取した臍帯は専用のバッグにいれ、マイナス196度で保存されます。平均で70~80ccの臍帯血を採取することが可能です。その数分後に対外に胎盤が娩出されるため、母体や分娩時には影響がありません。出産後はすぐに臍帯は母体から切り離されます。臍帯血の保存には高度な知識を要し、さらに品質も守らなくてはいけないため、採取できる医療機関は限られているのです。

臍帯血(さいたいけつ)を病気の治療に利用するメリット、デメリット

臍帯血(さいたいけつ)を病気の治療に利用するメリット・デメリット

近年では、臍帯血に含まれる造血幹細胞が白血病などの病気の治療に絶大な効果をもたらすといわれていますがメリット、デメリットがあります。

メリット

一般的に造血幹細胞に用いる際に行われる骨髄移植は、白血球の型(HLA型)が一致しないと白血球が攻撃しあい拒絶反応が起こってしまいます。しかしHLA型の一致は兄弟で4分の1の確率といわれており、親族に同じ型が見つからないと骨髄移植自体がむずかしくなるのが現状です。しかし、生まれたばかりの赤ちゃんは白血球の働きが未熟なので、HLA型が完全一致をしていなくても拒絶反応がほとんどありません。そのため、移植しやすいといわれているのです。また、骨髄移植の場合は提供者、すなわちドナーに全身麻酔をし、骨髄を採取する必要があります。麻酔をしているといえど、処置の際には痛みも感じドナーへの負担が高くなります。しかし、臍帯血なら提供者であるママへの負担も少なく採取ができるので大きなメリットといえるでしょう。

デメリット

一見、病気の治療において非常にメリットが高いといえる臍帯血ですが、当然デメリットもあります。臍帯血は出産時に高品質を保った状態で採取、保存をするため採取できる医療機関が限られているのです。臍帯血を採取したいママさんは、普段通院している医療機関では対応が難しく、採取のために転院を検討しなくてはなりません。また、採取する臍帯血の量は少量であることから、大人の治療においては必要量が足りない場合もあります。さらに骨髄移植と比べると臍帯血が病気の治療に用いられるようになったのはここ数年のお話ですので、歴史が浅く研究の余地があるのも現状でしょう。

臍帯血(さいたいけつ)を使った治療が効果的な病気

臍帯血(さいたいけつ)を使った治療が効果的な病気

分娩時に採取した臍帯血は、ある主の遺伝疾患や血液の病気への治療に効果的といわれています。特に白血病や再生不良性貧血などの病気に役立つという結果がでています。

臍帯血(さいたいけつ)バンクの特徴(公的臍帯血バンク、民間臍帯血バンク)

臍帯血(さいたいけつ)バンクの特徴(公的臍帯血バンク/民間臍帯血バンク)

臍帯血を採取するには臍帯血バンクを使わなくてはなりません。しかし臍帯血バンクには「公的臍帯血バンク」「民間臍帯血バンク」の2種類があります。これらの特徴を詳しく紹介します。

公的臍帯血バンク

公的臍帯血バンクは白血病などの治療のために用いられる臍帯血を供給する事業者です。主に臍帯血の採取、調製、保存を行いますが、患者さんが移植を希望したときには手術を受ける医療機関へ臍帯血を引き渡す業務も担っています。2022年現在、厚生労働省の認可を受けた臍帯血供給事業者は全国に6か所。北海道臍帯血バンク、関東甲信越臍帯血バンク、近畿臍帯血バンク、九州臍帯血バンク、中部臍帯血バンク、兵庫臍帯血バンクとまだまだ少ないのが現状です。しかし、国の認可を受けているため安全性や信頼性が高いのが特徴です。

民間臍帯血バンク

民間臍帯血バンクは、本人や家族の病気の治療のために臍帯血を保存してもらう事業者です。現在はまだ医療技術として確立されていない医療に備えて委託契約を結び保管費用を支払って利用します。例えば任意の母親から有償の保管委託契約などに用いられます。主に新生児本人や家族の治療のために保管する目的で使用が可能です。しかし、平成24年に成立された、白血病等の疾病の根治的治療法である造血幹細胞移植に用いるための骨髄、末梢血幹細胞、臍帯血の適切な提供を推進する「造血幹細胞移植推進法」では対象外になるのです。

よくある質問

よくある質問

Q1.臍帯血は本人以外の親、兄弟にも適合しますか?
治療においての適合性は際HLA型の一致率によって判断がされます。兄弟や姉妹間では完全一致の適合率は25%、半分の適合率は50%といわれています。一方で、親子の場合ですと半分は必ず適合します。そのため、近年では細胞治療や再生医療の備えとして臍帯血を保管しておく人が増えてきました。

Q2.臍帯血は、どのような患者さんの治療に用いられるのでしょうか?
A.臍帯血を用いた治療では骨髄治療などが必要な白血病や遺伝病などに使用されます。しかし。病気に種類による場合もあるので、採取する前に医師に確認しておくといいでしょう。

Q3.なぜ採取場所に限りがあるのですか
公的臍帯血バンクは2022年現在では全国に6か所しかありません。さらに臍帯血を採取する場合は医療機関に限りがあります。採取した臍帯血を安全に保管するためには、厳密な基準をクリアする必要があるのです。またスタッフの教育や訓練も必要です。

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